16年3月19日 土曜日 連休初日
 
 偶然なのだけれども、表紙の絵柄に魅せられて借りた大島昌宏著「そろばん武士道」が面白くてやめられない。
 舞台は大野で時代は天保年間。大野藩主・土井利忠が80万両にも及ぶ債務短期返済のために重用した内山七郎右衛門を主人公とした物語である。
 内山は士農工商の身分制度に胡坐をかき蔵元から借財を重ねる武士的発想に見切りをつけ、重商主義の到来を予感。先ずは三国湊の豪商・森田家のあるじと話をするなかで、「財政改革の成否を握るのは、そろばんにあり」と喝破するのである。いろいろあって大阪へ旅した七郎右衛門は、大野藩に対する最大の債権者・加島屋の八代目あるじ・久右衛門を訪ね、店での奉公を志願し、七兵衛と名を変える。こういうことは前代未聞で、国元の大野でも藩主以外から「あいつはバカかアホか。武士の矜持をうっちゃりやがって」とあざけられるのであるが、七兵衛は全く意に介さない。
 侍の給与を三年間限定で四割~七割カットし、暴漢に傷つけられながらも財政再建の道を突っ走る。七兵衛はやがて大坂の目抜き通りに藩直営の雑貨屋「大野屋」を出す。

 ここで僕は18年前を思い出した。初めて金津町議になった時、新聞に僕の名を見つけたからだろう、大野市の山田さんから電話がかかってきた。「当選おめでとう。私も、復活の「平成大野屋」の初代社長に就任したよ」と言われたのである。金物屋主人の山田さんは、その数年前の福井県PTA連合会時代におなじ副会長どおし一緒に全国いろんな場所を旅行した仲で、とてもなつかしかった。・・今度、大野へ利き酒にいこうかイトヨを見にいこうか。