4月日記         
2020年4月16日 木曜日
 昨晩は九時に会議終了。皆が帰ったあと、ソファーをベッドに組み替えて就寝。
 
 このごろは必ず夢を見る。
 昔の夢は冥界に旅立った友人・眷族を想う場面のみだったのが、ここ一週間程は現存する友人・知人との会話ばかりで、これは不思議なことだ。
 フロイト先生に是非とも夢判断をあおぎたいところだが、先生はとっくに亡くなっていて、処方がない。

2020年4月15日 水曜日
 確定申告の締切日なのであわら市庁舎へ行ったが、ちょうどその時、宇江佐真理著「深川恋物語」を読了。巻末の解説で、阿刀田高が「江戸の風俗を書くことに長けていた。舌を巻くほどうまかった。」と、激賞していたが、確かに読みだしたら止まらない。カッパエビセンだ。
 ということをこのブログに書いている最中(さなか)、去年の三月に心不全で亡くなった友人の奥さんから電話が入り、「このご時世なので、一周忌を取りやめにしました。天国にいる旦那も笑って許してくれるでしょう。」と、言われた。
 
 家族以外とは、顔を合わせない日々が続いている。
 いろんな予定がキャンセル又は延期となり、女性の訪れも皆無となり、何もすることがなくなった現在、設計コーナーと応接コーナーの整理整頓に精を出すこととしよう。
 そういえば今晩も会議がある。
 2020年4月13日 月曜日
わたしが一番きれいだったとき 茨木 のり子
街々はがらがら崩れていって
とんでもないところから
青空なんかが見えたりした
わたしが一番きれいだったとき
まわりの人達がたくさん死んだ
工場で 海で 名もない島で
わたしはおしゃれのきっかけを落としてしまった
わたしが一番きれいだったとき
だれもやさしい贈り物を捧げてはくれなかった
男たちは挙手の礼しか知らなくて
きれいな眼差しだけを残し皆発っていった
わたしが一番きれいだったとき
わたしの頭はからっぽで
わたしの心はかたくなで
手足ばかりが栗色に光った
わたしが一番きれいだったとき
わたしの国は戦争で負けた
そんな馬鹿なことってあるものか
ブラウスの腕をまくり
卑屈な町をのし歩いた
わたしが一番きれいだったとき
ラジオからはジャズが溢れた
禁煙を破ったときのようにくらくらしながら
わたしは異国の甘い音楽をむさぼった
わたしが一番きれいだったとき
わたしはとてもふしあわせ
わたしはとてもとんちんかん
わたしはめっぽうさびしかった
だから決めた できれば長生きすることに
年とってから凄く美しい絵を描いた
フランスのルオー爺さんのようにね
         
2020年4月12日 日曜日
 
 横山秀夫著「動機」読了。
 この著者に興味が沸いてユーチューブで追ううち、ドイツの建築家:ブルーノタウトが浮かび上がってくる。
 
 タウトは日本人の空間認識が普遍的に持っていた「結界という概念」を世界にむけて発信した男である。
 西欧人の現実認識には無い概念で、その時点で僕は建築家になってよかったなあと、つくづく思った。

2020年4月10日 金曜日 福井新聞死亡欄から

 ①関根潤三が93歳で亡くなった。
かってプロ野球テレビ中継で話術巧みな解説をもって全国的人気を博した人で、改めて考えてみるに、ぼくが若い頃にプロ野球テレビ観戦キチガイになったのも、このひとの影響だ。

 ②もひとつ、素九鬼子(もとくきこ)が83歳で亡くなった。言わずと知れた映画:「旅の重さ」の原作者だ。映画は高橋洋子が主演。高橋の全裸がぞっとするくらい美しかった。
 20歳代の頃、僕は16mmフィルムの映写技師の資格をとっていた。
 そして、仁愛女子高校の特別教室で、この映画を上映した。
 女生徒は百数十人いたと思う。その中で男性は、僕と友人の二人だけ。奥手の童貞で今だ女性の世界を知らない僕は、フィルムを回しながら興奮していた。
 
 今朝、介護施設に勤める友人から電話がかかってきて、「今、私たちの合言葉は<人を見たらコロナと思へ>なのよ」と、言う。いやはや・・。

2020年4月9日 木曜日
 
 今朝外出する時、生まれて初めてマスクをした。まことに息苦しい。しゃべるのが辛い。
 三国図書館へ行ったら、受付で「もうすぐ坂井市内の全ての図書館がシャットダウンとなります」と、言われた。
 昨日、芦原図書館へ行ったら時は、「あわら市内の金津、芦原図書館では
シャットダウンの予定はありません」と言われたのだが、一日一日の状態見で、いつ何時(なんどき)シャットダウンとなるかわからない。

 人と会うのを止め、煙草を止め、焼酎を止めた自分にとって、唯一の楽しみの図書館通いがかなわぬとなると、先に見えるのは闇の世界だ。
 桜満開のなか、なんとしよう。


2020年4月6日 月曜日

 下は、連城三紀彦著「戻り川心中」に出てくる苑田岳葉の歌。

 明日はまた 涸れむ命をつかのまの 朝陽にむすび蘇る花
 
 幻の 女に似せむと黒髪を きりし命の千筋なるゆめ
 
 花の色を せめて黄泉路の一灯に せんと結びし手のあたたかき
 
 流されて 流るるままにあてもなく 書きし手紙の言の葉を焼く


 連城の本を読むのは数十年ぶりだが、読んだときの不思議な気分が、より一層濃厚に蘇ってくる。今回の読書で苑田岳葉は歌意の天才だと連城は語った。天才は歌をつくってから、客観的現実を歌に合わせる。その作為こそが芸術家と呼ばれる所以なのだ。その意味では、連城も文意の天才と呼べるだろう。

 それはさておき


2020年4月6日 月曜日

 土日は、家族及び初孫以外の誰とも逢わず、ひたすら読書読書で終わったが、週も新しくなり、そういうわけにもいかないだろう。
 というわけで、きょうのうちに、確定申告を仕上げてしまいたい。


020年4月3日 金曜日 もう週末か
 
 事務所でパソコン内部を整理していたら、高戸先生から頂いた小冊子の一部を十数年前にデーター化したものがでてきた。
 
高戸甚右エ門著「インダスの流れ」
201406
 著者・発刊に際して  
 「私たちは、今恵まれた窮めて便利な生活をしている反面、おもいやりの心がすたれて、「自分さえ良ければいい」という風潮がみなぎっているが、これは人間社会の貧困そのものではないだろうか。
 戦後日本は立派な製品を安い価格で世界に売り出し、めざましい発展をとげているにもかかわらず、「国民そのものに欠陥がある」と米国ハーバード大学のエズラヴォーゲル教授が指摘された通り、日本的考えがどこでも通用するような錯覚が目立つのではないだろうか。毎年沢山の人が海外旅行すると聞くが、海外へ行くにはパスポートが必要でありこれには外務大臣が相手国に対して行路の安全を依頼する文面がついている。ところが日本人であるとの国家意識を持たず、そのような教育を受けず、国策を無視した言論が横行し外国のジャパンパッシングに同調するなど国益を考えない人々が大手を振って歩いている国から出ていくから冷や汗ものであり、一国の繁栄だけを願うものではなく、世界の平和と繁栄を願い、地球の保全と人類の進歩を考えるとき他国の事情を知り、理解することが大切である。 どの民族にも歴史と伝統があり、風俗、習慣、言語が異なるも、それぞれその環境で英知を重ねて生活がなされているのである。
 海外での生活を通して今改めて「豊かさ」とは何なのかと考えさせられるのである。 二カ年のパキスタンでの生活と歴史の歴史を書きとどめたのは、帰国した昭和三十五年(一九八八)の暮れである。その後、会社に勤務し昭和六三年(一九八八)定年退職しても農業の傍ら公務を持ち多忙のため原稿を死蔵していたが七五才を迎え老人の郷愁から整理をすることにした。

 日進月歩は世の常。すでに四〇年を経て、かってのパキスタンは印パ戦争のあと一九七二年一月東パキスタンはバングラデシュとして分離独立し今日に至っている。パキスタンに於いても首都が「カラチ」から「イスラマバード」に移り、パキスタンも近代国家として繁栄、進歩をしていることであろう。
 一九五九年「チッタゴン(東パ)」からカルカッタに入り領事館で聞いた「ダライラマ亡命」のビッグニュースも昨日のことのように思われ、カルカッタのハウラー駅からブツダガヤ、アグラ、デリー、アムリツアー(インド領)、ラホール(4パキスタン領)への汽車の旅もなつかしい。
 ボンベイ、マドラス、スリランカのコロンボやベラデニヤ等も、TVで報道を聞く度に現地での思い出が四〇年前にタイムスリップして、脳裏をかすめる昨今である。

 

2020年4月2日 木曜日 きょうは終日雨模様
 ここ二週間ほどで、睡眠時間がとても長くなってきて、例えばきょうの目覚めは四時だ。
 年を取るに従って睡眠力が減退し時間が短くなるというのが自分の中での定説だったので、やや不思議。
 生きる気力が再びビーアップトしているのかもしれない。
 
 ところで
 今朝、妹から電話があって、長崎称念寺と明智光秀の関係をいろいろ聞かれた。妹も歴女だ。はなしているうちにアタマに浮かんできたのが、この句。
 
  月さびよ 明智が妻の 話せむ  芭蕉


2020年4月1日 水曜日
 年度が替わった。
 この2,3日、新型コロナウイルスのあわら市での感染情報が次々と入ってきて、「牧田クン大丈夫か?」のオンパレードで、おおわらわだ。
 そういえば芸人の志村某も亡くなった。彼よりも一歳年長の自分は身の振る舞いに於いて気を付けているほうだろう。
 彼は最盛期に煙草三箱吸っていたそうな。
 翻って自分の最盛期は煙草二箱だった。煙草二箱は20×2=40本/一日。睡眠を八時間として、24-8=16時間が起床時間となる。
 40÷16=2.5本/時間で、吸っている時間を五分間と仮定するならば、(60-12,6)÷2、5=18、9分間が吸っていない時間帯となる。一応、節度のある吸い方といえる。
 
 しかし志村某の場合は、もはやチェーンスモーカーで、黒澤明とおんなしだ。
 ということで、健康を考えた僕は煙草を止めて、電子タバコにした。でも、美味いのは本当の煙草なので、時々買っています。