私の眼前で激しく燃え上がる炎。これを何だと思いますか?
ここは米ボストンでも 米テキサスでもございません。越前国です。
昨晩の私は、日本海を見下ろすステーキ専門店にいました。
正装のシェフがカジュアルジャケットの服装で座る私の前にやって来ました。彼と私の間で
Q・シェフ 「お飲み物は何になさいますか?」
A・私 「ノンアルコールの白ワインでいきましょう。ボルドー産の1935年ものがいいですね」
Q・シェフ 「お肉は何になさいますか?」
A・私 「黒和牛極上をお願いします。私は国産品至上主義者なのです。」
Q・シェフ 「焼き上がりはどうなさいますか?」
A・私 「ひさしぶりにミデイアムでいきます」
Q・シェフ 「ライスには何をいれましょうか?」
A・私 「ガーリックを入れてくだしい」
というありきたりの会話がありました。そのあと厨房に引っ込んだシェフは、数分後に血のしたたる肉片を白い皿に載せて再び現れました。肉片をステンレス面台に置き何かの液を降り注いだあと点火した瞬間の光景が上の写真であります。
意外と思われるかもわかりませんが、64年間の人生で私がステーキ専門店に入ったのは初めてのこと。カラオケなどで出てくる焼肉とはレベルが全くちがいます。私たち人間は、菜食主義者でない限り、理不尽にも動物の命をいただいて生きております。であるならば、その肉を最高の焼きあがりで最高の味付けでいただくのが殺した動物に対する敬意だと私は思いました。
一瞬、「私のガールフレンドのなかのうちのひとりを連れてきて、この極上の世界を一緒に味わうべきだった」と思いましたが、すぐに「いやいや、これでよかったのだ。あとで万一ばれると連れてこなかったガールフレンドたちからの激しい非難の声を浴びることになる。やっぱりひとりで来てよかったのだ」と思った次第です。